日蓮正宗 昭倫寺

立正安国論(r3.6)


(立正安国論 御書二四九頁一行目)


仁王(にんのう)経の七難の内、六難今盛んにして一難未だ現ぜず。所以(いわゆる)四方の賊来りて国を侵すの難なり。加之(しかのみならず)国土乱れん時は先づ鬼神乱る、鬼神乱るゝが故に万民乱ると。今此の文に就(つ)いて具(つぶさ)に事(こと)の情(こころ)を案ずるに、百鬼早く乱れ万民多く亡ぶ。先難是(これ)明らかなり、後災(こうさい)何ぞ疑はん。


(通解)

仁王経に説かれる七難のうち、六難までは今さかんに起きているが、一難は未だに起こっていない。
すなわち「四方の賊が来襲して、国を侵略する」という難である。
それだけではなく、同経には、「国土が乱れるときは、まず鬼神が乱れ、鬼神が乱れる故に万民乱れる」とある。
今、この文について、詳しく実情と併せて考えてみると、百鬼は早々に乱れ、万民は多く命を落としている。
先に起こった難がこのように明らかに起きているのであるから、後の災いが起きることをどうして疑えようか。