(可延定業御書 御書七六一頁一行目) 命と申す物は一身第一の珍宝なり。 一日なりともこれをのぶるならば千万両の金にもすぎたり。 法華経の一代の聖教に超過していみじきと申すは寿量品のゆへぞかし。 閻浮第一の太子なれども短命なれば草よりもかろし。 日輪のごとくなる智者なれども夭死あれば生ける犬に劣る。 早く心ざしの財をかさねて、いそぎいそぎ御対治あるべし。 (通解) 命と申す物は一身第一の珍宝なり。 たとえ一日であっても寿命を延ばすならば千万両の金にもまさる。 法華経が釈尊一代の一切の聖教の中で最も超過して勝れているというのは、仏の常住の生命を明かした寿量品があるからである。 一閻浮提第一の太子であっても、短命であれば草よりも軽くあっけなく虚しい。 太陽のように素晴らしい智者であっても若死すれば生きた犬にも劣る。 早く志の財をつみ重ねて急いで病気を対治しなさい。 |