日蓮正宗 昭倫寺

立正安国論(h29.8)


(立正安国論 御書二三四頁二行目)

(しか)る間、或は利剣即是(りけんそくぜ)の文を専(もっぱ)らにして西土(さいど)教主の名を唱へ、或は衆病悉除(しゅびょうしつじょ)の願(がん)を恃(たの)みて東方如来の経を誦(じゅ)し、或は病即消滅不老不死の詞(ことば)を仰(あお)いで法華真実の妙文(みょうもん)を崇(あが)め、或は七難即滅七福即生の句(く)を信じて百座百講の儀(ぎ)を調(ととの)へ、有(あ)るは秘密真言の教(きょう)に因(よ)って五瓶(ごびょう)の水を灑(そそ)ぎ、有るは坐禅入定の儀を全うして空観(くうがん)の月を澄まし、若(も)しくは七鬼神の号(な)を書して千門に押し、若しくは五大力の形を図して万戸(ばんこ)に懸(か)け、若しくは天神地祗(ちご)を拝して四角四堺(しかい)の祭祀(さいし)を企(くわだ)て若しくは万民百姓(ひゃくせい)哀れみて国主国宰(こくさい)の徳政を行なふ。


(通解)

 そこで、或いは「阿弥陀の名号は罪を除く利剣である」との文を専らに信じて阿弥陀仏の名を唱え、或いは「すべての病が悉く除かれる」という文を信じて薬師如来の経を口ずさみ、或いは「病がたちまち消滅して不老不死の境涯を得る」という詞を信じて法華経の経文を崇め、或いは「七難が忽ちのうちに滅して七福を生ずる」という句を信じて百人の法師が百カ所において仁王経を講ずる百座百講の儀式を整え、また或いは、秘密真言の教えによって五つの瓶に水を入れて祈祷を行い、或いは、坐禅を組み入定の形式ばかりを整えて空観にふけり、もしくは、七鬼神の名を書いて千軒の門に貼ってみたり、もしくは、悪魔を祓うとされる五大力菩薩の姿を画いて万戸に掲げ、もしくは、天の神・地の神を拝んで、都や町の四方においてお祭りをし、或いは、国主・国宰など時の為政者が万民を救済するために徳政を行っている。